昨年の4月に並木第二小学校と並木第三小学校が合併し、現在金沢区には22の横浜市立の小学校があります。これを区の面積から考えるとどこの家庭でも大体徒歩で10分から15分圏内に小学校がある計算になります。この横浜市立小学校の空き教室を活用して、お金をあまりかけずに行政サービスの拠点に出来ないかと私は考えています。コンピューターの端末とプリンターがあれば、住民票や印鑑証明や戸籍の写しなどを入手する程度のサービスはそれほど難しくないはずですし、携帯電話やクレジット決裁などで現金を持たなくても税金や水道料金の徴収なども出来るはずです。学校の保健室と連携すれば乳児の予防接種やお年寄りや主婦の健康診断なども出来ます。人件費も市の職員はせいぜい1名が常駐する程度で、定年を終えた市の職員をパートタイムで再雇用したり、指定管理者制度を活用してボランティア団体にお願いしても良いかもしれません。
まずは小学校に近所の人々が気軽に足を運べるようにする仕組みを作り、小学生たちと近所の大人たちがおたがいに身近な存在になることと、市民サービスが近所で受けられるという質的向上の一石二鳥を狙うのです。こうして小学校が地域コミュニティの拠点になると、例えば教育施設と介護施設の融合などの展開も考えられます。土曜日の授業などを活用して近所のおじさんに自分の仕事について語ってもらったり、実際に仕事を体験してもらったり、お年寄りにその地域の昔の話をしてもらったりと、さまざまな社会教育のカリキュラムを組んでみることも良いでしょう。
Change横浜!の項では行政・企業・市民団体・学校の垣根を外し、既存の役割を超えた連携の時代が来ると述べましたが、まさにこの政策はそのことを体現しているモデル事業といえるでしょう。学校に近所の人が出入りするようになると安全性を問う人が必ずいると思いますが、顔見知りの近所の人々が大勢来れば来るほど安全性は高まると思います。危険な人が来ると困るという理屈を言われてしまうと病院や駅などは一体どうすればよいのですかと問いたくなります。これからの学校は勉強を教えるだけの施設だという固定概念をまず教育委員会には改めてもらわなければならないのです。
360万都市の横浜には18の区があります。金沢区の人口は約21万人。神奈川県内では茅ヶ崎市や厚木市や小田原市、国内では長野県の松本市や鳥取市や甲府市がほぼ同じ人口です。一概に人口だけでは比較出来ませんが、福浦や幸浦や鳥浜にはあれだけの工業団地がありながら、中心市街地の開発は先述の各都市と比較してもお粗末としか言えません。確かに動物園や水族館はありますが、金沢区には美術館も博物館も駅ビルさえもありません。そしてなぜかごみ処理施設ばかりがどんどん出来ています。
それは金沢区に住んでいながら横浜の中心は中区や西区だと考えている人々の意識の問題もありますが、基本的に政令指定都市の枠組みの中では区の権限は非常に限られているからという面があるからなのです。つまり金沢区の発展を金沢区民が考えて進めていくことができないのが今の仕組みなのです。私は将来道州制が取り入れられたときには、横浜・大阪・名古屋・札幌・仙台・福岡あたりは、既存の政令指定都市の枠組みからさらに大きな権限を持った人口や産業の集積地としての巨大都市の位置づけを新たに規定する必要があると考えています。これらの巨大都市が静岡市や浜松市、堺市といった100万人以下の都市と同じ政令指定都市の括りでは収まらないのは明白です。つまり道州制の導入に伴いこれらの巨大拠点都市は道州から独立した新しい特別市のような自治体を目指してはどうかと思うのです。
それに伴ってそれぞれの18区は基礎自治体としての機能や権限を持ち、自主財源での運営を図るようになったらどうでしょう。金沢区は金沢区民の手で、金沢区らしい発展をしていくようになるのです。みなとみらいも目処が立ち、ランドマークタワーや日産スタジアムなどの巨大プロジェクトの時代は終わりました。これからは18区がそれぞれの発展を考えながら、それでも誰もが「はまっこ」なんだというアイデンティティを持ち合わせることが大切なのです。
プロフェッショナルから子供たちやお年寄りまで裾野が広がった地域総合スポーツクラブをや金沢区に誘致することや、金沢区内に点在する自然や歴史や観光の資産を連携させること、潮風と緑が満喫できるマラソンやハイキングのコースを作るといった発想は、中区にある市役所からは出てきません。将来を見据え金沢区が金沢区らしい発展や成長を遂げるためのグランドデザインを金沢区民の手で作ることが大切です。
最近のマスコミの報道を見ていると、議会や議員に対する目は厳しいものがあります。様々な議員特権や形骸化している地方議会への批判を聞くたびに、政治家を目指そうとする側から見ると本当に情けなくなります。
私は地方政治家としての活動は議会活動と調査研究と広報活動の3つに分けられると考えています。この3つをきちんと行い、有権者の支持をいただければ政治家として続けられるのだと思います。そしてこれらの活動をするのにかかる費用を賄うものが政務調査費だととらえています。きちんと議会で議論をして政務調査費は何に使うべきものなのかという規定を作り、その使途を公開すれば何の問題もないと思います。カーナビを買ったことがバレて議員辞職した議員がいましたが、私は政務調査活動にカーナビゲーションは必要だと思います。横浜市会議員なら横浜市内のどこにでもすぐに行く必要があり、住所が調べられればすぐにそこに行けて政務調査活動が出来るのですから政治家にとってはとても便利な道具です。なぜそれが政務調査費として必要なのかの自分自身の考え方をきちんと説明してそれが有権者にとって非常識だと判断されれば選挙で落選するだけのことです。
また、小学生のころ社会科の授業では三権分立という言葉を教えられ、議会は立法府だと習いました。しかし地方議会では、議員は議会に議案を提案することが出来る(地方自治法112条)にもかかわらず議員立法というものはめったにないと聞きます。なにがそれを妨げているのかはわかりませんが、議員になった以上は議会に対して議案を提出することは当然のことだと考えています。
会派として、議員個人として、しっかりと勉強をして市長や市役所に負けないだけの知識を持ち、その上で市民からの視点でモノを言っていくことが大切です。またそのためには地域政策シンクタンクや政策発信型の市民団体とも連携を図り、市民からの声をしっかりと吸い上げてそれを形にしていくことも大切です。
横浜市、特に金沢区は、中小企業が集積する都市です。私は400人近くの市内の若手経済人が集う団体である横浜青年会議所での活動を通じて、地域に根ざして頑張る小さな会社やお店の人たちと多く接してきました。私を応援してくれる仲間たちも小さな食品製造業や町の工務店の経営者やその息子さんたちが中心です。私は横浜や金沢の発展のためにはこの人たちのパワーが何よりも重要だと考えています。しかし彼らからは「横浜市は大企業を優遇しすぎる。」「下請けの仕事をしていては利益も出ないし税金も払えない。」「値段の安さだけで決まってしまう入札制度では、将来手抜き工事が次々と出てきて大変なことになる。」といった声を良く聞きます。
横浜市や金沢区といった地元で頑張る会社が、地元の人を雇用してくれて、しっかりと適正な利益を上げて、きちんと税金を払ってくれる。そうなれば、行政の予算もふくらみ様々な市民サービスも提供できるようになり、横浜に人が集まってくる。そんな好循環を生むために、私は「地域貢献型企業認証制度」というものを私が理事長を務めさせていただいているNPOや大学の研究機関と協働事業として研究開発しています。
この制度では地域に貢献しながら頑張っている会社をきちんと認めてあげるということも大きな目的ですが、自分たちが行っている事業が世の中に認められたり、その認証を毎年継続して取得し続けることは経営者から従業員の末端まで会社の経営の方針や取り組みが伝わり、一体感のある強い会社に成長することに繋がるはずです。
ぜひこの制度を定着させて、将来的にはこの認証を取っている会社は、特別な低金利で資金の調達が出来るとか、行政の入札参加条件にこの認証の取得を義務付けるように出来れば、行政から発注される仕事も安かろう悪かろうという体質から抜け出せるはずです。
これまで述べてきたように私はひとつの政策を実現することによって様々な効果が期待できるように複合的に考えることが、役人のように縦割りの組織論にこだわることのない政治家の役割なのだと考えています。私たちの生活において生じる問題は、縦割りで考えられることばかりではありません。政治家とはそんなときにこそ力を発揮する存在であるのです。